LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2026 ファイナリストを発表
マドリードでの審議を経て、選考委員会は第9回LOEWE FOUNDATION Craft Prizeのファイナリスト30名を選出しました。
LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2026 ファイナリストを発表
マドリードでの審議を経て、選考委員会は第9回LOEWE FOUNDATION Craft Prizeのファイナリスト30名を選出しました。
LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2026 ファイナリスト
30作品が選考委員会によりファイナリストに選ばれました。 これらの作品は、2026年春にシンガポールに開催されるLOEWE FOUNDATION Craft Prize 2026展で展示されます。
ファイナリスト名: ジョーブ・バーンズ
居住国または居住地域: イギリス
作品名: 《Laying Vessel》
カテゴリー: 金属
材料: スチール、塗料、ラッカー

工業的な制作とクラフト的な制作のあいだに対話を生み出す本作は、3ミリの鋼板を用い、ウェスト・ミッドランズにある大型金属成形を専門とする工場でアーティスト自らの立ち会いのもと円錐状に成形された、大型の彫刻的な器です。 仕上げとテクスチャーの対比が際立つ本作では、内部表面がサンドブラスト処理、溶接、下地塗り、塗装、そして幾度にもわたるラッカー仕上げによって赤みを帯びた光沢をたたえる一方、外側には過酸化水素水、酢、塩を用いた自家製の溶液が施され、オレンジがかった錆の層が作り出されています。 こうした工業的なプロセスと素材の変容が組み合わさることで、本作は制作が行われた土地の製造業の歴史を映し出すと同時に、労働を終えた人間の身体を想起させる器として立ち現れます。空になりながらもなお生き生きとした、疲弊と忍耐力とが同居するイメージとして提示されているのです。
ファイナリスト名: ババ・ツリー・マスター・ウィーバーズ × アルバロ・カタラン・デ・オコン
居住国または居住地域: スペイン
作品名: 《Fra Fra Tapestry #2》
カテゴリー: テキスタイル
材料: 天然色および黒染めのエレファントグラス

共同作業で編まれた、生きた人類学的文書とも呼ぶべきこの大規模なタペストリーは、「フラフラ」のコミュニティにおける儀式的実践に根ざしながら、先祖代々の織物の知識と現代技術を融合させることで、危機に瀕した建築の伝統を保存しようとする試みです。ガーナのグルンシ地方にある円形のアドベ住居を写したドローンによる上空写真から着想を得て、マドリードでAutoCADを用いて建築図面を描き、布地に等倍で印刷しました。その後、ガーナにおいてメアリー・アナバとババ・ツリー・マスター・ウィーバーズの手により、伝統的な籠編み技法で自然の、または染色されたエレファントグラスを用いて織り上げられました。2色のパターンで構成されており、太い黒線で壁を示し、白い空間で内庭を表し、そこにババ・ツリー・マスター・ウィーバーズが自由に文様や図を描き入れることで、集団労働によって育まれた固有の伝統を映し出しています。
ファイナリスト名: スヒョン・チョウ
居住国または居住地域: 韓国
作品名: 《Reconstructed Perspective Vessel 3C1L》(作品1-3より構成)
カテゴリー: 金属
材料: シリコン青銅、銅

異なる2つの型のセットから要素を組み合わせることで生み出されたこの3つのブロンズ群は、結果としてさらに複雑で動的な形態を呈し、それぞれに微妙な変異と時間的奥行きを宿しています。成形された銅の内壁を各形態に挿入することで二重構造を形成し、表面は化学的に酸化処理されて、光の変化に応じて移ろいゆく深い黒のパティナを帯びています。このプロセスは、鑑賞者・対象・時間の継続的な関係性によって知覚が形成されるという彫刻的実験といえます。
ファイナリスト名: モルテン・ロブナー・エスパーセン
居住国または居住地域: デンマーク
作品名: 《#2572》
カテゴリー: 陶芸
材料: ストーンウェア、釉薬

この円筒形の器はろくろで成形され、三度にわたる釉掛けにより、表面全体に色が自由に展開しています。形態の簡素さが重ねられた釉薬に安定した基盤を提供し、それらは水平の帯状となって胴部に沈殿しています。これらの帯は考古学的地層や変容する風景を想起させ、滴り落ち、淡く滲む色調は特に日本の釉薬技法に代表されるアジア陶芸伝統との密接な対話を示しています。反復行為と変化の制御を通じて、本作は形態と表面を活用し、時間の経過と繰り返しの焼成によって釉薬がとる物質的な挙動を強調しているのです。
ファイナリスト名: リアム・フレミング
居住国または居住地域: オーストラリア
作品名: 《Patterns of Pressure》
カテゴリー: ガラス
材料: ガラス

本作は、伝統的なベネチアのガラス技法であるインカルモを用いて制作された歪像的なガラス彫刻であり、アーティストは高温での型吹きと温度帯を下げたガラスのフュージングを組み合わせることで、厳密な幾何学構造を作り出し、その後それらを極端な炉熱に晒しています。制作は2つのガラスバブルを吹くことから始まり、色ガラスを外側から「詰める」というスタッフドカップ技法を用いて、色をガラスの外表面に施します。その後、2つの大きなガラスの量塊は作家自ら設計した金属型に吹き込まれ、高さのあるセラミック炉の内部で熱いうちに接合され、600度を超える温度まで再加熱されることで、ガラスが弛緩し、一体となった構造へと落ち着いていくのです。こうしたプロセスを通じて、結合された形態は幾何学的な明晰さと流動的変形とのあわいに身を置き、硬直した柱を、不安定さと転移の瞬間を刻むフォルムへと変貌させています。
ファイナリスト名: オスカー・グスタフソン
居住国または居住地域: スウェーデン
作品名: 《Hierarchies of Existence》
カテゴリー: 木工
材料: アッシュ材、銅線、ハードワックスオイル

この背の高い木柱は、36枚のアッシュ材の柾目板を用いて構成されており、それぞれがスチームベンディングによって曲げられ、120本の撚り銅線によって保持されています。生木のアッシュ丸太から帯鋸で厚さ4mmに挽き割った板を丸い治具に沿って蒸し曲げ、その曲線を保ったまま銅線で固定しています。成長と朽ちゆく循環という自然の営みに根差しながら、木と金属を組み合わせたこの構造体は、組み上げと同時に徐々に進行する崩壊の気配を内包し、ハードワックスオイル仕上げによって木質の有機的な表情を生かしつつ保護しています。極めてミニマルな構造で柱を成り立たせるこの手法は、作者の高い技量と素材に対する深い理解を物語っています。
ファイナリスト名: チャーチェン・シェイ
居住国または居住地域: 台湾
作品名: 《Rhythm in Grid》
カテゴリー: その他
材料: 竹、漆、染料

この立方体の構造物は、竹を構造体としても表面としても徹底的に活用して制作されたものです。竹製の格子が外枠を定義し、数千本の特殊処理を施した極薄の竹ひごがその内部空間において曲げられ、層を成し、吊り下げられています。これらの絡み合う要素は連続的な球状の波紋パターンを形成し、本来は剛性を有する素材を、柔軟性の限界へと押し広げています。正方形と球体、静と動、自然の循環と絶えざる変容という関係性を通じて、この構造は伝統的な竹工芸を現代彫刻の文脈へと引き込んでいます。
ファイナリスト名: ゲルトルート・ハルス
居住国または居住地域: ノルウェー
作品名: 《Scala》(作品3-5より構成)
カテゴリー: テキスタイル
材料: 綿とリネンの糸、樹脂

野心的なスケールのこの3つの器は、オーダーメイドの編み輪を用いて白い綿麻糸を手作業で編み上げ、その後反応性繊維染料を手で塗布して着色されました。織物は樹脂に浸され、薄いプラスチックで覆った段ボール型に張り上げられることで高くそびえる形態を与えられ、そのまま硬化させられます。固まった器たちは機能的・儀式的な連想を呼び起こし、反復的な構造はネットワークや変容を暗示。段階的な色彩変化は、一日のうちの時間と光の移ろいを詩的に瞑想するもので、夜の濃密な闇から正午の鮮烈な陽光までを描き出します。作家自身のノルド神話に対しての、特にその自然界との深い結びつきへの長年の関心を反映した作品です。
ファイナリスト名: スーザン・ホールズ
居住国または居住地域: イギリス
作品名: 《Edifice》
カテゴリー: 陶芸
材料: 釉薬を施したセラミック、ストーンウェア

セラミックを手仕事で大まかに成形した要素からなるこのダイナミックな彫刻的作品は、集うことへの感情的な衝動と集団性の観念を呼び起こします。木製の型板で柔らかい粘土板に波型模様を施した後、それぞれの平面的な形態は緩やかなアーチ状の輪郭へと折り曲げられます。粘土の流動性により微細な変異が生じるものの、全体として均一性が保たれています。半乾きの段階で慎重に組み上げられ、高い建築的構造体を形成。その後ビスク焼成を経て、銅とマンガンの酸化物に富む釉薬を表面に吹き付け、1200度の最終焼成により、濃密で暗みを帯びた仕上げに微妙な色調の揺らぎがもたらされます。
ファイナリスト名: ジョンイン・イ
居住国または居住地域: 韓国
作品名: 《Baeheullim》
カテゴリー: 家具
材料: ウォールナット材

この彫刻的なベンチは2つのウォールナット材から構成されます。上部は一木から削り出され木目と質感の層を露わにし、下部は垂直に配列された木目が構造的方向性を強調。チェーンソーによる粗削り、ほぞ組による接合、そしてグラインダーと手鑿による仕上げを経て、木材は時間とともに互いに膨張収縮を繰り返し、1つの身体へと落ち着き、潜在的な不安定さの中に見た目の均衡を生み出します。伝統的な韓国建築の柱腰に見られる微妙な膨らみ「배헐림(べフルリム)」に着想を得ており、上から見るとその柔らかなシルエットがこの形状を想起させ、流れるような木目と曲線によって身体と空間を繋ぎます。
ファイナリスト名: ソミョン・イ
居住国または居住地域: 韓国
作品名: 《Chronicle of Matter》(《Chronicle of Matter 001》《Chronicle of Matter 002》より構成)
カテゴリー: 木工
材料: 蒸気曲げオーク材、黄土、縄、ミクストメディア

4本脚の形態を備えたこの2作は、細長く薄いオーク材をゆっくりと曲げ、編み、縛り上げるという過程によって生み出されました。蒸気で柔軟化し、熱いうちに成形されて弾力と張力を与えられた各ピースは、抵抗と柔軟性との間の物理的な対話のもとに、手仕事で接合されます。黄土と紐が表面と構造の相互作用を生み出し、全体の形態は鳥が枝を集めて巣を築く建築的手法を採用しています。蓄積と結合のプロセスを通じて素材を再構築し、依存、層なり合い、集団的支え合いから生まれる強さと安定を、生命のメタファーとして明らかにしているのです。
ファイナリスト名: アデリーン・コー
居住国または居住地域: シンガポール
作品名: 《Endless》
カテゴリー: 製本
材料: 紙、刺繍糸、アルミニウムワイヤー

通常は書籍の背に隠される花布(エンドバンド)が、ここでは連続的で瞑想的な構造へと拡張され、縫製・色彩・リズムそのものがフォルムをなしています。単一のアルミニウムワイヤーコアを核に、刺繍糸を用い、作家は18・19世紀イングランド式のフロントビーズ法による花布縫製を駆使します。手折り・手裁ちした紙を折丁とし、外周縁に追加で折り目を施して、手縫いでワイヤーコアに接合。このプロセスにより、書籍に秘められた装丁要素が円形の建築的形態へと変貌し、製本技術を、色彩・リズム・反復を旨とする彫刻的言語として紡いでいます。
ファイナリスト名: マリア・コシェンコヴァ
居住国または居住地域: デンマーク
作品名: 《Faun’s Flesh (Arena Rosada)》
カテゴリー: ガラス
材料: 吹きガラス造形、ヴィンテージのガラス

このガラス彫刻は、低くねじれた塊の形態をとり、折り重なりながら自己圧縮する、密度の高い層状表面を備えています。ヴィンテージのガラスを組み込み、複数回の吹き工程に加え、長期の窯入れ、冷間加工、銀付けにより制作されました。色彩は直感的に重ねられ、表面に粘るような運動と絵画的深みを生み出しています。Holmegaard Værkの吹きガラスチームの協力を得て、即興的手法と独自開発のツールを駆使し、素材を蛇行的で筋肉質な形態へと押し進めました。あらかじめ描いた設計図以上に素材の応答に左右されるプロセスを経て、ガラスと彫刻の境界を拡張しています。
ファイナリスト名: 中平美紗子
居住国または居住地域: 日本
作品名: 《Interaction #YB》
カテゴリー: テキスタイル
材料: 羊毛、綿

張りつめたコットンの上に構築されたこのタペストリーは、柔らかに折りたたまれているかのような表面を形成しながら、絵画と彫刻の中間に位置する作品です。混紡ウールの細い横糸(「杢糸」)から、手織りによって青と黄色の縞模様を生み出し、それらが互いに重なり合い、乱れ合います。色の濃淡の微妙な変化は、この柔軟なフォルムの上に奥行きがあるかのように錯視させます。裏面も露出されており、定まった向きを持たず、光・動き・鑑賞者の位置によって外観が絶えず変容します。流動的な織物の表面で、縞模様の秩序を不安定化させることで、構造と儚さの間の緊張を、正面から問いかけています。
ファイナリスト名: ファデケミ・オグンサンヤ
居住国または居住地域: ナイジェリア
作品名: 《We Are Not Lying, Your Language is Not Enough》
カテゴリー: テキスタイル
材料: 綿布、プラスチックビーズ、綿とポリエステルの中わた

手刺繍とビーズ刺繍によるこのキルトは、通信・象徴・物語・神話のための視覚言語として歴史的に用いられてきた、伝統的なナイジェリアの防染技法「アディレ・エレコ」を用いて制作されました。鳥の羽ペンで15の区画にキャッサバ澱粉の「ラフン」ペースト(ヨルバ女性が伝統的に調製)を渦巻き模様に描き、周囲の縁にはヨルバ文字で諺や民間伝承を記しています。布はナイジェリア北部カノの歴史的名所コファ・マタのインディゴ染め坑で染色されました。防染を洗い流した後、表面を手刺繍とビーズで強調し、綿を詰めて深みと構造を与えています。
ファイナリスト名: ジウン・パク
居住国または居住地域: 韓国
作品名: 《Seed of Circulation》
カテゴリー: 金属
材料: 酸化スターリングシルバー、リネン糸

膨張と収縮という自然界のリズムに根ざすこの高密度な彫刻的作品は、数千にもおよぶ小さなハンドメイドのスターリングシルバーの断片から組み立てられ、コンパクトで房のような、球根状の姿を生み出しています。これらの断片はリネン糸で個別に連結され、表面は柔軟でありながら自らを支えているようです。反復的な工程によって、規則性と変異を均衡させるリズミカルなパターンを生成し、形態は膨張・収縮しながらも構造的一貫性を保っています。種のような本作は、靭(つよ)さと柔軟さを兼ね備え、拡張の可能性をはらんでいます。
ファイナリスト名: ジョンジン・パク
居住国または居住地域: 韓国
作品名: 《Strata of Illusion》
カテゴリー: 陶芸
材料: 磁器、紙、染料、釉薬

歪んだ直線的な座面を思わせる形態は、層状の重なりによって構築されており、コンパクトな陶磁器体を形成しています。手で調合した顔料で染めたポーセリン・スリップを紙に塗布し、折り畳み、積み重ね、手で圧縮して直方体を作り上げます。成形過程で自然な皺、圧縮、ずれが表面に残されます。乾燥後、1280度の酸化焼成により紙の層が一体の陶体へと転じます。焼成中に生じる反りが不規則で空洞化した姿を作り出し、その後電動工具で表面と構造を精緻化。作家が魅了されている物質の不安定性を映したこの作品は、制御と崩落の緊張を捉えています。
ファイナリスト名: ラファエル・ペレス・フェルナンデス
居住国または居住地域: スペイン
作品名: 《Time To Time》(作品1-3より構成)
カテゴリー: 陶芸
材料: 磁器、粘土

同サイズ・同重量のこの3つの磁器作品で、作家は自然の退廃と変形のプロセスを加速させています——自然の秩序と時間の経過に対する反逆として。精密な幾何学的ブロックを制作の起点とし、ガス窯で1250度の焼成を施すことで素材内部に構造的破綻を強いています。一度剛直だった白・灰・黒の外表面は割れ、ずれ、内側に圧縮され皺寄った内部を露わにし、層を成す紙や折り畳まれたシートを想起させます。水も漏らさぬほどに緊密だった内部が外側へ押し出されており、縁は破砕され、平面は平らさを失います。制御された焼成により、この連作陶芸は、「変形」を磁器そのものに刻み込まれた物理的プロセスとして可視化しているのです。
ファイナリスト名: ドロテア・プリュール
居住国または居住地域: ドイツ
作品名: 《Migratory Birds》
カテゴリー: ジュエリー
材料: チタン、金

このネックレスは、チタンで形成された2羽の大きくも軽量な鳥を特徴とし、細いゴールドチェーンで吊られています。チェーンは鳥の上側と下側で等分に長さをとり、それぞれ留め具で固定されています。金属板はまずハンマーで凹みを打ち込み、次に翼部分を折り曲げて最終的な彫刻的形態を完成させました。変形と素材の硬度により、安定性を保ちつつも、装着可能なスケールと軽さを強調する設計がなされています。本作により、作家は大きさと無重力の概念に近づき、作家・鑑賞者・着用者の間で原初的な飛翔への憧れを共有しています。
ファイナリスト名: カースティ・レイ
居住国または居住地域: オーストラリア
作品名: 《Repose 2》
カテゴリー: ガラス
材料: ガラス

細長く波打つシート状の形態をとるこのガラス彫刻は、伝統的な工具で1枚のガラスを切り出し成形した後、4度の窯入れを経て完成しました。1回目の焼成で彩色粉末を加え、2回目で表面に波型を形成、3回目でそれを圧縮、4回目でシートを優しく折り畳んで最終形態を与えています。結果生まれた作品は浅く身を開いた姿となり、硬さと脆さの均衡を保ちつつ、制御された動きを受け止める素材の特性と構造的な柔らかさを強調しています。その様子は自然景観の繊細さを実体のあるフォルムで物語るようです。
ファイナリスト名: ヴィヴィ・ローザ
居住国または居住地域: ブラジル
作品名: 《Resonance》
カテゴリー: その他
材料: セメント、リサイクルガラス粉末、シュレッドコットン、ワイヤー、接着剤

曲線的で抒情的なこの器は、作家が開発した独自の複合素材を手作業で成形したもので、室温で乾燥し焼成を要さず、耐候性に優れます。リサイクル粉砕ガラス、再利用されたシュレッドコットン、接着剤、顔料、セメントを組み合わせて制作されています。廃棄原料から集めたリサイクル素材を内部の構造基盤として取り入れ、表面を層状に積み上げ、彫り込み、手磨きし、最後に樹脂と植物性ワックスで仕上げて、耐久性と触感的深みを形態に与えています。
ファイナリスト名: エルベ・サバン
居住国または居住地域: ハイチ
作品名: 《Sèvi-Tè》
カテゴリー: 木工
材料: 木材、蜜蝋、油絵具

上方に少し掲げられたこのボウルは、彫り出し、研磨、焦がし、ミネラルオイルと蜜蝋によるエボナイズ処理を施した機能的な木彫シリーズの内の1点です。1本の木からくり抜かれ、素材の自然な木目と不規則性を保持しながらも、焼成と仕上げによって表面に変容が生じます。小さな赤い木製支柱が器の下に組み込まれ、焦げた器体を地面からさりげなく持ち上げています。共同利用のために木をくり抜く古来の技法に着想を得て、精密な構造的介入によって歴史的なクラフトと現代的なフォルムの対話を試みた作品です。
ファイナリスト名: ザンシ・サマーズ
居住国または居住地域: ジンバブエ
作品名: 《The Caretaker’s Clotheshorse》
カテゴリー: 陶芸
材料: 釉薬を施したストーンウェア

この大型のストーンウェアの器は、手でゆっくりとコイル状に巻かれた内部フレームを核に形成され、穿孔と加重によって崩れ落ちるシルエットを作り出しています。ジンバブエの伝統的なビンガの籠から着想を得て、外側に粘土を織り込む技法を施し、表面は自身の重みで折れたり、耐えたり、わずかにほつれます。ビスク焼成後、草籠や毛布、台所布、その他の家庭用織物を想起させる精緻な彩色を施します。作品における活力と重荷の緊張は、多くの場合不可視なケアと家事労働の実態に物理的な形を与えるもので、単一の構造内に回復力と重圧を宿しています。
ファイナリスト名: ココ・ソン
居住国または居住地域: 韓国
作品名: 《Shadow Kkokdu》(《Optak》《Liebero》《Pupillove》《Bongja》《Pupsi》より構成)
カテゴリー: ジュエリー
材料: 粘土、ラッカー、カラーワイヤー、ビーズ、スワロフスキーストーン

粘土、ビーズ、カラーワイヤー、糸、ラッカー、スワロフスキーストーンを用い、高潔な寓意が込められた小さな手作りの人形オブジェです。ワイヤーと糸で形を作ってから粘土を貼り、本体と骨組みを形成します。表面を彩色し、ビーズ細工で飾り、模様を描き込むことで、内省と装飾を集約していきます。このシリーズは、韓国の葬儀における伝統である、生と死の境で死者の魂を導き守る人形「꼭두(コクトゥ)」を再解釈したものです。影のようなお守りの形をした本作は、人格や個性、ぬくもりとユーモアを包み込み、喪失の悲しみを、手に取ることのできる思いやりの言語へと昇華させています。
ファイナリスト名: 田中信行
居住国または居住地域: 日本
作品名: 《Inner side – Outer Side 2021 N》
カテゴリー: 漆芸
材料: 漆、麻布

この背の高い擬人的な作品は、身体の象徴としての「器」という概念に基づいた空洞の自立形態であり、乾漆技法で制作されました。発泡スチロールの型の上に麻布の層を重ね、後に型を取り去って約5mm厚の軽量な自己支持構造を形成します。黒漆を繰り返し塗布し、各層を乾燥させた後に炭で磨き上げて、最終仕上げを行います。この工程を5度繰り返すことにより、滑らかで光沢のある表面が生まれ、器の波打つような曲線と直立した存在感が強調されました。
ファイナリスト名: グラツィアーノ・ビジンティン
居住国または居住地域: イタリア
作品名: 《Collier》(作品1と2より構成)
カテゴリー: ジュエリー
材料: 金、ニエロ

サイズも形状もさまざまな立方体からなるこの2つのネックレスは、薄い金箔から作られ、ニエロ(黒金)を塗布して装飾されます。作品の着想源となっているのは、「レジスタンス(抵抗)」をあらわす幾何学的なモチーフ。金は構造体であると同時に、表面そのものとしても扱われています。ニエロは、伝統的な技法のように彫り込んだ線に象嵌するのではなく、自由な筆致で塗り重ねることにより、金属の表面を覆い、その痕跡を残しています。光がネックレスの上を移ろうとき、金のやわらかさと、ニエロの深い黒の存在感が対比をなし、色彩と反射の変幻自在な相互作用を生み出します。
ファイナリスト名: ライヤ・ウォータース
居住国または居住地域: ベルギー
作品名: 《A Turn Toward Possibility》
カテゴリー: 木工
材料: ベルギーポプラ材、黒インク

コンパクトで空洞状に形成された本作は、伝統的な木工旋盤工具を改造し特注の取付機構を用いて、堅いポプラ材から毛髪のような細い繊維を抽出して構成されています。各繊維は旋削、櫛入れを経て、黒インクに浸され、毛細管現象と重力によりインクが繊維に吸い上げられます。繊維の直径と位置により、密集から羊毛状まで密度に差が生まれます。旋盤加工中の失敗に端を発するこのプロセスは、誤りを方法論に転換しつつ、ベルギーで多収穫ながら軽視されがちなポプラを、表面と触覚性に特徴を持つ織物のような構造体へと変貌させています。
ファイナリスト名: ナン・ウェイ
居住国または居住地域: 中国
作品名: 《Knot-Loving》
カテゴリー: 漆芸
材料: 漆、牛革、リネン

漆と革からなるこの作品を生み出すため、作家はまず革を立体形状に張り、生漆を染み込ませ、漆を構造全体を硬化させるための媒体としました。外側にリネンを2層に施し、次に削いだ灰粉末を4層重ねて漆で固定します。さらに漆を5層重ねることで、表面のみならず全体の厚みに漆を染み込ませます。外面は徹底的に研磨されて滑らかな光沢を与えられる一方、内面は元の様子を保持しています。革の柔軟性と弾性を活かす日本の伝統的な漆技法「漆皮」を再解釈しながら、現代的で、手仕事のスケール感に即した、ファッション指向の素材文脈に漆のクラフトを位置づけています。
ファイナリスト名: ジェーン・ヤン=ディへイン
居住国または居住地域: アメリカ合衆国
作品名: 《無題》
カテゴリー: 陶芸
材料: ストーンウェア、磁器、釉薬

このやや傾いた壺は、ストーンウェア粘土と磁土を混ぜ合わせ、丸みを帯びた非対称の形態に作られました。手びねりで成形し、表面には描線や書のような線が刻まれています。繰り返しの焼成により、これらの線や穴の上に釉薬がインパスト状に盛り上がり、表面にテクスチャーと色調が密に堆積します。韓国の伝統的な月壺のプロポーションと、西洋絵画の表面から着想を得て、本作は陶芸的フォルムと描画的ジェスチャーをひとつの層状のオブジェへと統合しています。作家自身の感情や記憶のみならず、より大きな文化遺産の歴史にも呼応する作品です。
ファイナリスト名: 吉積彩乃
居住国または居住地域: 日本
作品名: 《ICON #2507 Group》(《ICON #2507 No. 2》《ICON #2304 No. 3》より構成)
カテゴリー: ガラス
材料: ガラス、アクリル絵具、グリッター

「3次元のキャンバス」として扱われたこの2つの表現豊かなガラス彫刻は、金型を用いた手吹きガラスによるもので、成形とバーナーで柔らかな曲線を生み出しています。型が基底となる形態を定める一方、狙いを定めた加熱によりねじれと歪みが生じ、ガラス内に動きを与えます。この工程で色彩パターンが浮かび上がり、素材の流動性と、内側と外側のうつろいが強調されます。伝統的な型吹きガラスと実験的なバーナー加工を組み合わせ、変形を制御することでガラスの変容可能性を探求しています。フォービズムとミニマリズムの影響を受け、日本の文化である「間」の美意識をもって空間を構成し、ガラスの特性である色彩・形態・光を巧みに構成する作家です。
デジタルエキシビション 2025とThe Room
LOEWE FOUNDATION Craft Prizeをデジタルエキシビションでご覧ください。世界で最も革新的なクラフトの作り手たちの作品をご覧ください。この年1回の賞では、陶芸、木工、テキスタイル、レザー、バスケット、ガラス、金属、ジュエリー、漆などの表現手段で制作をおこなう、作り手、職人、アーティストたちを称えています。
The Roomは、LOEWE FOUNDATION Craft Prizeの歴代ファイナリストによる2,800点以上の作品を収蔵する常設デジタルアーカイブです。作品を検索・絞り込みし、現在入手可能な作品をご覧いただけます。
ファイナリスト作品の中から、LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025 大賞受賞者の青木邦眞を含む、デザイン、建築、ジャーナリズム、批評、キュレーションなど各界の第一線で活躍する13名の審査員によって、Craft Prize 2026の大賞が選出されます。
賞金は50,000ユーロで、受賞者の発表は2026年春に行われる予定です。
選考委員は、応募された全作品から、傑出した卓越性と新しさ、革新性、現代的なクラフツマンシップの芸術的先見性を持つと認められる作品30点を選出し、審査委員会に提出します。
クラフトについての対談を見るにはこちら。.
応募要項をお読みいただき、全ての条件を満たしているかご確認ください。参加者は18歳以上の職人である必要があります。個人でもグループ(グループでの応募)でもご応募いただけます。国籍は問いません。
応募作品が以下の条件を満たしていることをご確認ください。 熟練した技術に加えて、芸術的な意図が表現されていること オリジナルの一点ものの作品であり、そのすべてまたは一部がハンドメイドであること 最近(過去5年以内)制作された独自性のある作品であり、過去に受賞歴がないこと 伝統を更新するような革新性があること 作品が、陶芸、製本、エナメル細工、宝飾、漆、金属、家具、レザー、テキスタイル、ガラス、紙、木工などによる応用芸術に分類されるものであること。応募登録はオンラインにて英語で行うこと。
作品(またはシリーズ)の写真2~5点と、必要に応じて動画をご用意ください。 作品のコンセプトを簡単にお書きください。 応募締め切りは2025年10月30日です。